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風の中の小鳥

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「まことにはかなきものは、ゆくえさだめぬものおもい。風の中に巣をくう小鳥」(作大手拓次)私なぎの物思いの幾つかを・・・

冬景色☆

去年と比べると今年は比較的あたたかな日が続いていますが、冬の依水園は色味が乏しいです。
それでも、冬のお庭には冬ならではの美しさがあります☆
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茶庭の苔は敷松葉に覆われ
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菰巻きされた松
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小道も空も広々と感じられますね。
この時期は、紅葉のころの喧騒が嘘のように静かで、その分、ゆっくりとお庭を回ってご案内ができます。
花のないお庭も、なかなか良いものですね~♪

二月はガイド予約が少ないので、自分の楽しみと下調べを兼ねて新薬師寺に行ってみました。
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このあたりは普段でも静かですが、冬は特に静かですね。
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10年ほど前に境内を綺麗に整備されて、砂利などが妙に白々としてましたが時間がたって色味も落ち着いてきました。
大きなお薬師さんの横には、盗まれた香薬師さんのレプリカがありますが、
その右手だけが見つかり、今は国立博物館に寄託されてるそうです。
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おたま地蔵堂の前の庭も整備されていい感じ
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昔は放置に近かったお地蔵さんもちゃんと祀られて
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ひめ神さまの鳥居、鮮やかな朱色です☆

さて、私が定点ガイドをしている依水園では、2月4日から3月3日まで、とんでもなく素敵なお雛様が見られます。
1907年、当時のオーナーだった関藤次郎氏が、孫娘さんの誕生を祝って娘さんの嫁ぎ先に贈られたもので
曲水の宴をかたどった平飾りのお雛様です!!
お話を聞いたときは、
平飾り??
しかも曲水の宴???
私の頭の中は疑問符でいっぱい!!!・・・・いったいどんなものなのか、すごく楽しみだったので
早速拝見に行って来ました☆
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こう見るとそんなに大きくないみたいでしょ?
でも、実際は、八畳以上あるお部屋の端から端まで!
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右端は美少年だそうです☆彡
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和歌を詠むお殿様とお妃さま、そして楽人たちかな?
お殿様はお髭をはやしておられます…
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琵琶に笛にお箏に打太鼓そして宮女たち。
打太鼓を打つ女官は、おたふく顔なんですよ(汗)
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琵琶の糸は切れてるそうですが、お箏はちゃんと音が出るそうです!
こうして見るとちゃんと糸が張ってあるのがわかりますよね。
ほんとの楽器と同じ仕様で作られてるとのこと。
それに、右端の女官は、置き眉してます!
既婚者、ってことかしら?

後の植えてある木々は全部本物で、花だけが作り物。
何もかも、これ以上ないというほど贅をつくしたお雛様で、
丸顔、面長、とそれぞれ違う顔かたち、姿勢、首の傾げ方、衣装、どれ一つとして同じものがありません。
中には白髪交じりでシワやほうれい線のある女官までいましたよ(ちょっとひどい?)(笑)
その見事な衣装もお顔もシミ一つなく、100年ほど前のものにしてはあり得ないほどいい保存状態なのは、おそらく使われていた素材が素晴らしいからでしょう☆
(御人形の糊が悪いとシミや汚れの原因になる、と聞いたことがあります)

このお雛様たちは、東京の関氏のお嬢さんのお宅に有ったそうですが、本宅は戦争で全焼したのに
お雛様のあった蔵だけが無事で、今回その蔵が取り壊されるのにあたって、
このお雛様を散逸させるに忍びず、ゆかりのある依水園に寄贈されたそうです。

依水園はもう関氏の手を離れていますが、お雛様も里帰りしたように安心されてると思います…

他にも、
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童人形のお雛様もありました・・・・・
可愛い☆

それにしても、明治の豪商って凄かったのね~、と改めて実感しましたわ。





Commented by まりえ at 2019-03-10 07:57 x
これは凄いですね!!
こんなの見たことありません~!
源氏物語の1シーンのようです。

明治の大金持ちって、相続税が安かったのかしら…(笑)
なんだか桁が違いますね。そういう方々が、いろいろな文化を支えてらしたんでしょうね。

ところで、我が家の孫娘は二人おりますが、
お嫁さんの実家のほうでは、おひな様は一人に一つなんですって!!
一人に一つでその子の穢れを引き受けてくれるそうで…(汗!)
あの狭いマンションに二つあるんですよお~
Commented by nagiwi at 2019-03-19 12:55
まりえさん
お返事が遅くなって申し訳ありません!
コメント、ありがとうございます☆

ほんとにすごいお雛様だったんですよ~♪
細工はリアルで美しくて見事だし、保存状態も良くて、仰る通り明治のお金持ちの凄さには脱帽です。
そしてもう一つ、これが依水園に里帰りしたことにも感動しました。
依水園からお嫁に行って、行った先で愛され大事に保存され、今回、散逸することなく里帰りできたのには理由があると思います。
依水園はこのお雛様をお嫁に出したときとは、持ち主が変わっています。現在の持ち主さんが、文化に理解があり、依水園のお庭や建物を大事に保存しておられたからこそ、帰ってこられたんですよね~。

散逸しなくてほんとに良かった!

雛人形って、一人に一つづつなんですか???
確かに、お雛様は穢れを引き受けてくれるから他人に譲っちゃいけない、って言うのは聞いたことがありますが・・・・
三人娘だと三つ必要ってことですか????
ずぼらな私は、出す手間を考えたらぞっとします・・・・


Commented by sana at 2019-04-26 20:53 x
昨冬の酷寒に比べると暖冬でありがたかったです。
風情のある境内、素敵ですね。
なんて見事なお雛様!目を奪われます。
曲水の宴とは‥しかも琴は音が出るなんて、すごいです。
これだけ上質だと大事にしたくなるものでしょうか。
それでもなかなか揃って残らないものですよね。
里帰りできたなんて、素晴らしいですね~。

marieさん、
お雛様一人に1つ、って1セットですか? それはなかなか出すのも大変そうな‥見る方は楽しめますけど^^
Commented by nagiwi at 2019-04-26 22:30
> sanaさん
そう、今年の冬は暖かだったのに、春になってから急に寒い日が続きましたね。

お雛様、見事でしょう!
お顔も衣装も持ち物も素晴らしくて、「贅をつくした」って言葉はこのためにあるんだと思いましたわ!
三月にはお雛様を飾ってお友達を呼んだりして祝ったんでしょうか。
招いたお嬢さんも、招かれたお嬢さんたちも、さぞかし豪華なお着物姿だったんでしょうね・・・・うっとり~
by nagiwi | 2019-02-19 19:57 | ボランティアガイド | Comments(4)

「まことにはかなきものは、ゆくえさだめぬものおもい。風の中に巣をくう小鳥」(作大手拓次)私なぎの物思いの幾つかを・・・


by nagiwi