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まほろば検定体験学習プログラムに行ってきました☆

8月29日、春日大社であったまほろば検定体験学習プログラムの
「春日権現験記が描く中世、人々の息づかい」に行ってきました。

この日のお話は、宮司の花山院弘匡さんによるもの・…ちなみにこの方の名字は、かさのいん、とお読みするようですが、春日大社の宮司さんは勿論藤原氏の出身。
花山院家は、世が世なら、左大臣?太政大臣?にもなれる家柄だそうな。
ひえ~☆

春日大社は、奈良時代に始まり今日まで連綿と続く藤原氏の氏神ですが、奈良時代以前から三笠山のこの辺りは太陽や月の登る場所として、古代信仰の神域であったと思われます。
京都より古い、日本の源流とも言うべきその地に、平城京を守る神社として春日大社が作られたんですね。

平安時代には、藤原氏の氏神として、大層きらびやかな時代を迎えました。
春日祭は葵祭、石清水祭、と並んで勅使祭で、藤原氏が勅使となって神饌を持参したそうです。
また、春日大社には能で用いられる影向の松があったり、結崎座が奉仕していたなど、申楽から能へと発展したその発祥地でもあったそうです。

そして、春日大社の自慢は、その長い伝統が途絶えることなく続いてきたということのようで。
京都では、応仁の乱のせいで150年ぐらいはあらゆるものが灰燼に化してしまったのに対して、奈良では、南都焼打ちに際しても春日大社は無事だった。
おかげで、さまざまな行事などの歴史がきちんと継続してて、宮中とここにしか伝わらない行事もあるんだそうです。

春日権現験記は、その名の通り、春日大社の効験を集成した絵巻物ですが、成立は1309年(鎌倉時代)絵は宮中最高の絵師だった高階隆兼、詞書は前関白鷹司基忠とその子供たちによるもの。
早い話が、その頃最高の絵師と貴族によって描かれたものだったんですね~。
それは、春日大社が、宮中において大きな力をもってた事ですよね。

この絵巻は、春日の神の権威や、信心深い人々を加護する様子が、大変丁寧に、真心をこめて書かれています。
原本は今は宮内庁にあって、春日大社には江戸時代の写しがあるんですが、これがまた見事なもので。
昔は、40歳以下は見てはいけないし、見るときは精進潔斎、水垢離をとってから見たものだそうです…・

この日配られた資料には、第六巻の三話、第二巻の一話、第七巻の四話、第七巻の一話、第一巻の一話、がコピーされてました。
こういう資料って、たいてい白黒で分かりにくいことが多いんですが、今回のコピーは、色鮮やかなカラーがすごく綺麗で、細部までくっきり出てます。
流石に自社の資料ですね!

第六巻の三話は、六道あたり(今の春日荷茶屋の前・・・六つの道が交わるから六道と言うとも、鹿の道のろくどうとも、地獄を意味するろくどうである、とも言われてるそうです)でお経を咥えた蛇を子供がいじめているシーンと、その子供が熱を出して巫女さんと山伏に護法をしてもらってる様子とが描かれてました。
この蛇は春日の神さんによって地獄に落とされたんだけど、お経を飲ませて救ってやろうと思ったのに、子供が邪魔をしたので罰があたった、と言うことらしい。
巫女さんに神のお告げがあって、般若心経を読んだら治ったそうです~。
子供が熱を出して寝てる所が拡大されてましたが、それはもう、細かいところまで、丁寧に丁寧に描かれてて。
例えば、子供の枕もとにはお母さんとお婆さんが看病しており、瓜と思われるものが切っておいてある板が置かれ、壁には厄除けの新旧二枚のお札が貼ってあって、板の間には後ろ向きの猫が心配そうに見てるんですよ。
庶民の暮らしがとてもよくわかります!

第二巻の一話は、1093年の白河上皇の御幸の様子。
おともに宮中の公家17人を引き連れたはるんですが、その中に、花山院宮司家の祖である藤原家忠が描かれてるそうな。
ちなみに宮司さんは33代だそうです…・いま2010年だから、900年以上続いた家系なのね!!
この場面には現在もある着到殿や幣舞殿が描かれてて、ほぼそのままなのが分かります
・・・ただし、この絵の着到殿は今とは場所が違い、この時臨時に作られたものらしい。

第七巻の四話は、三途の川のほとりにたたずむ女性が、でっかい卒塔婆を眺めてる様子が描かれてるんですが、これはこの女房の夢で、その卒塔婆には女人も往生できる、と書いてあるらしい。
罪深い女性も春日の神の力で往生できるというのがこの話のコンセプトですが、卒塔婆の大きさが、春日の神の力の強大さを表してるそうです。

第七巻の一話は、1212年、解任された藤原経通卿が、もとの仕事に戻りたいよ~と、春日大社に参籠したら、何者かが後鳥羽上皇の夢に現れて経通を思い出せ!と言った。
問い合わせてみたら春日大社にこもってたので、復職させてやりました、と言うお話((すごく雑にまとめました)(笑)
この絵には、春日大社の本殿の前で参籠する人々の様子が、表情豊かに克明に描かれてます。
本殿はほぼ現在と同じ作りですが、唐破風だけがありません。

そして、第一巻の一話は、これまた参籠する人が主人公ですが、このお話で参籠するのは橘氏の娘。
937年2月25日、橘氏の娘が参籠してたら、神殿が泰動し神が娘に憑依した!
娘(神)は神官、禰宜、神人、僧を呼び集め、「私はもう、慈悲万行菩薩になってるよ!」と宣言したという…・
春日大明神は救済の神、国家守護の神であるということだそうです。

後ろでは、鹿が三匹御託宣を聞いてました…

以上、5つの場面から分かることは、春日明神が庶民、上皇、女性、貴族、とあらゆる人々の望みをかなえ、救済する神であるということなんですね。

中でも、お春日さんは、女性に優しい神さんとして有名だったそうですよ。
まあ、それって、当然かも。
だって、藤原氏の栄華の根本は、光明皇后。
そして、天皇の外戚としてその栄華は絶えることなく続いてるわけで、外戚って言うのは即ち、娘を天皇の后にするってことで。
女性を大事にしないでどうする!って感じですよね☆

宮司さんは学校の先生だったそうで、お話は分かりやすく、とても面白かったです!

お話のあとで、江戸時代の写本を見せて頂いたんですが(精進潔斎なしで)(笑)それはもう、ほんとに綺麗!
信貴山縁起絵巻よりも色鮮やかで、でも、表情は同じように豊かです☆
私のイメージでは、宮中の絵師が描いたら、源氏物語絵巻みたいに引き目鉤鼻になるのかな~と思ってたのに、この絵巻も、庶民が生き生きと描かれてました!

で、例によって昼食のお粥。
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これ、冷たいお粥なんですよ!
薄茶の緑が綺麗☆

午後からは、宮司さんに従って、絵巻に描かれたのと同じ場所に行きました。
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白河上皇が到着した二の鳥居と車舎・・・・絵巻物では、瓦が二枚落ちてるところまで書いてありましたよ(笑)
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祓戸神社・・・流造ですね。これも、絵巻と同じ所にあります!
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この向こうに藤の絡んだ鳥居(藤鳥居)があるんですが
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藤原氏出身の勅使はこの道を通って本殿に進んだそうです。
身内は勝手口から入る、と言うことらしいんですが、その道を剣先道と呼ぶんですって。
これが剣先道。先が剣のようになってますね!
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現在の着到殿。
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林檎の庭と幣舞殿。
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本殿。
絵巻の時代には唐破風はまだなかったんですね。
この前で参籠したんだ!
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本殿前の二位橋。
位の高い人はこの中に入って参籠したらしい。
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絵巻には幼木として描かれた木が、800年たってこうなりました!
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この日も相変わらずくそ暑い(失礼!)日でしたが、いつもと違う目で春日大社を見て、
意義深い日になりました。

で、どうやって帰ろうかな…と考えながら参道を歩いていたら、「鷺原道」の道案内に誘われて。
鹿園の横を通って飛火野に出ました。
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この道は父に連れられて良く歩いたものでした。
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私にとってはこの木が飛火野のシンボルです。
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この後、浮御堂から浅茅が原に抜け、国立博物館で、法華堂の金剛力士像を見て帰りました。
暑くて疲れましたが、充実した1日でした☆

おまけの情報☆
春日大社では、土曜と日曜、朝6時半から、禰宜さんと一緒に1時間かけてお参りする、と言うイベントがあるそうです。
爽やかな夏の早朝の春日大社を味わってください、とのこと・・・・今はとてもさわやかとは言い難いそうですが(笑)
ほんとは8月までの計画だったそうですが、好評のため、10月まで延長になったらしい。
面白そうですね~☆
Commented by 朱雀 at 2010-08-31 13:35 x
春日大社は前まで行きますが、ゆっくり巡ったことが無いので、機会が有れば行きたいと思っています。解説を聞きながら早朝のお参りが良いようですね。
Commented by lilakimono at 2010-09-01 06:20
700年以上も前に書かれたものの舞台がこうして残っているって、本当にすごいことですよねぇ。
こういうお話を聞くと、ますます日本を誇らしく思えるようになります。
Commented by nagiwi at 2010-09-01 23:31
朱雀さん
春日大社の境内は広いですよね~。
早朝のお参りには、禰宜さんが交代でいろいろ説明してくださるそうで、当たり外れがある…・もとへ、禰宜さんの個性が出て楽しい、そうです(笑)
Commented by nagiwi at 2010-09-01 23:36
りらさん
神社は式年遷宮と言って、20年~数十年に一度建てかえるんですが、もとの形そのままに建てるので、700年前の絵巻と同じ姿が見られます。
日本の寺社が世界遺産に指定される時、木造のものは修理されてるのでオリジナルではない、という議論があったそうですが、この、もとの形そのままに建ててある、と言うことがユネスコで認められて指定されたそうです。
by nagiwi | 2010-08-30 19:57 | まほろば検定 | Comments(4)

「まことにはかなきものは、ゆくえさだめぬものおもい。風の中に巣をくう小鳥」(作高橋睦郎・・・多分)私なぎの物思いの幾つかを・・・


by nagiwi