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風の中の小鳥

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「まことにはかなきものは、ゆくえさだめぬものおもい。風の中に巣をくう小鳥」(作大手拓次)私なぎの物思いの幾つかを・・・

万葉集に詠まれた植物・・・・初夏

土曜日に、「万葉集に詠まれた植物・・初夏」に行ってきました☆

小雨の降る中、去年十二単の講座に来たのと同じ、春日大社の「感謝と共生の館」で
10時半から始まりました。

午前中一時間半、昼食を挟んで午後も一時間半の講義の後、万葉植物園で実物を見ながら話を聞く、という段取り。

万葉集にある4500首の歌のうち、なんと、1500種に植物が読み込まれているそうです!
その万葉植物は全部で160種類に上ってるとか。
万葉の頃の人の暮らしは、自然とともにあったんですね☆

その中で、最も多いのは萩の140首、梅は120首、松80首、橘70首、芦、スガ50首、
そして桜は40首・・・・桜は万葉の頃には農作の時期を知らせるで実用的な植物だったために、
あんまり詠まれなかった。
一方、梅はその頃遣唐使とともに中国からはいってきて、貴族や知識人に尊ばれた、と言うことらしいです。
人間って、新しい物好きなんですね(笑)


このお話の後、スライドを見せながらの講義が始まったんですが、これがものすごいスピードで(汗)
ノートを取るのに必死でした(劇汗)

取りあげられたのは、
繊維植物として古くから利用された麻(カラムシ)
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にはじまって、
あやめぐさ、あじさい、あふち(せんだん)あふい(あおい)
あべたちばな(だいだい)
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うり、かきつばた、かしは(かしわ)きり(あおぎり)たちばな(にほんたちばな)ちさ(えごのき?)
ふと気が付いたらもうお昼。
感謝の言葉を唱えて
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昼食は春日荷茶屋の赤米のおかゆです☆
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午後からは
なつめ
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ねぶ(ねむのき)ひる(のびる)まゆみ、むらさき、やまあい、ゆずりは、あさざ、
はじ(はぜ)うのはな、うまら(のいばら)、
ひさぎ(あかめがしわ)
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ほほがしわ(ほおのき)
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全部で25種類でしょうか。
すごい駆け足の講義を聴いた後は、万葉植物園で実物を見ました。

その中でも印象に残ったのは、
やまあい(万葉時代の藍)
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生の根を搗いて汁を取り、衣を染めたそうで、現在も、大嘗祭にはこの「やまあい」で染めた小忌衣を着るそうです。
これは紫陽花の原種の「七段花」
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そして、これがムラサキ
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「託馬野に 生ふる紫草 衣に染め いまだ着ずして 色に出でにけり」
「茜さす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」

この頃の花は、どれもこれも花とも言えないほど小さくて、地味で。
この小さな花に美しさを見出した日本人って…結構すごいかも。

この中のいくつかは、もう絶滅危惧種になっているそうですが、例えば、やまあいが失われると大嘗祭の小忌衣を染めることができなくなる、すなわち、一つの文化が失われる、と言うことになる…

一見雑草にしか見えない植物の持ってる意味を考えさせられた一日でした☆
Commented by punipuni at 2010-06-29 10:19 x
ぎっしりと詰まった内容で、凄いですね。
とればよかった~~って感じ。
万葉植物園での植物の見かたがちょっと変わりそう。
「やまあい」見てみたくなりました。
おかゆもおいしそう~
Commented by nagiwi at 2010-06-30 19:05
punipuniさん
講義があんまり猛スピードなので、眠くなる暇もありませんでした(笑)
昔の人は、どれもこれも雑草にしか見えないものを、大事に利用してたんですね☆

荷茶屋のお粥はとっても美味しいんですが、もうちょっと食べたい(笑)
Commented by sana at 2010-07-08 15:20 x
わあ~素敵な企画ですね!
興味津々です。
名前も何だか、素朴だけど~風雅な感じがしますね。
お写真、拝見できて、嬉しいです~。
やまあい!絶滅危惧種…そ、それはありえますね。なんとか存続して欲しいものです。
紫陽花の原種?!珍しい~地味ですよねえ。でも小さな花って大好きです。

これが紫ですかぁ~…
子供の頃は華麗な紫の花とばかり思いこんでました!
大体の感じは2、3年前に知ってましたが、目の前に見るって感動でしょうね。
Commented by nagiwi at 2010-07-09 01:18
sanaさん
万葉集に詠まれた植物は、大抵が、花は小さくて色も地味で目立たないものがほとんどですね。
そう言う目立たない、今の私たちには「草」としか見えないようなものを生活に利用したり、その美しさを見つけた万葉人の感受性の鋭さって、すごいなあと思いました☆

そしてこう言う万葉植物って、一種類だけを取り出して育てようとするより、野原のようなところで何種類もが自然に生えてる方が、丈夫で大きく育つそうです。
いくつかの植物が絶滅しかかってるのは、そういう野原が無くなってきてるってことなんでしょうね。
by nagiwi | 2010-06-29 01:21 | まほろば検定 | Comments(4)

「まことにはかなきものは、ゆくえさだめぬものおもい。風の中に巣をくう小鳥」(作大手拓次)私なぎの物思いの幾つかを・・・


by nagiwi