国宝十一面観音

6日の月曜日、国宝十一面観音を見ようと
桜井の聖林寺と室生寺に行ってきました。
今年の春、友人と二人で行った琵琶湖畔の渡岸寺の
国宝十一面観音が忘れられなくて。
日本に7つある国宝十一面観音を二人で全部見ようということになったんです。

聖林寺は一年中拝観できますし、室生寺は9月まで金堂が特別拝観中なので
この二つが手始めになりました。

桜井駅で昼前に待ち合わせ、聖林寺へ行ってもう一度桜井駅まで戻り、
近鉄電車で室生口大野まで。
室生口大野から室生寺までバスで往復
というのがこの日の予定なんです…

一番大きな問題は、足の悪さ(汗)
桜井駅から聖林寺へのバスも、室生口大野駅から室生寺へのバスも、
よくあって一時間に一本(大汗)

室生寺から室生口大野への最終バスの時間から逆算してみたら
桜井駅から聖林寺へはタクシーで行くしかなくて(劇汗)
いや、季節が良ければ歩くんですが、梅雨の晴れ間のカンカン照りで、
歩いたら熱中症間違いなし、っていう感じでしたので…・

というわけで、聖林寺に到着し
駐車場でタクシーを降りて坂道を登るとほどなく
苔むした石垣と門が!
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石段を登りきると、桜井の町から大和平野が眼前に広がって見事な眺めです。
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受け付けには歩き始めたばかりの坊やがいるという、生活に密着したお寺。
小さな境内ですが清らかなたたずまいで、鳥の声が聞こえて。
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聖林寺の本尊は子安延命地蔵菩薩で、
これが実に大きな石のお地蔵さまで、びっくり!
安産、子授けの霊験あらたかだそうです♪

お目当ての十一面観音は観音堂に安置されていました。
これはもとは三輪神社の神宮寺であった大御輪寺で秘仏とされていたものが
明治の廃仏毀釈の1868年、こちらへ移され、フェノロサと岡倉天心によって開扉されたもの。
天平時代の木芯乾漆造、
身の丈2メートル余り、均整のとれたお姿は豊満で量感に満ちている一方
左手に持つ平瓶からのびる花茎の優美なライン、指先のたおやかさ、天衣のひだのあでやかさ、など
いくら眺めても、見飽きませんでした。

半時間以上も眺めた後お寺を出たんですが、バスが来るのにまだ少し時間があったので、
次の停留所までぶらぶら歩き、やってきたバスに乗って駅まで戻りました。
炎天下とは言いながら、田んぼを渡る風はさわやかでしたよ。
暑くても、歩くのは楽しいですね☆

桜井から室生口大野までは15分余り、駅を降りると空気が違います!
どこもかしこも緑が濃くて、風はひんやりしてて
都会っ子の友人は、大喜びでした。

バスは数人の乗客を乗せて発車、大野寺の磨崖仏の横を通って室生寺へと向かいます。
室生川と緑濃い山を見ながら走って、20分かからなかったんですが、距離にしたら相当ある…
バスを降りる時、運転手さんが最終バスの時間を教えてくれて、
くれぐれも乗り遅れないように、と助言してくださいました。
そりゃあ、そうです~、この距離は歩けない・・・・っていうか、
歩いてるうちに真っ暗になる??(笑)

室生川の清流の音が心を洗うようです。
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朱塗りの美しい山門は、気のせいかこじんまりと愛らしく、参拝の人影もまばらで。
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十一面観音のおられる金堂は、9月30日まで特別拝観できます。
山がちなこのあたり、時折雨がぱらついたり、かと思うと薄日が差したり
緑の中にたたずむ金堂はほんとにきれい!

金堂の中には、国宝の釈迦如来(平安前期の榧の一木像)を中心に、
右側に薬師如来と地蔵菩薩像、左に文殊菩薩とお目当ての国宝十一面観音像
その前には十二神将がずらっと並んでおられます。
こちらの仏像は室生寺様といわれるものだそうで、聖林寺より少し小さい感じ。
お顔もあどけなく、ふっくりとした頬や唇は少女のようで
女人高野といわれる室生寺に、如何にも相応しく立っておられましたよ。

十一面観音への信仰は、「現世安穏後生善処」と呼ばれる功徳が授かり、
現世利益を求めて、奈良時代末から平安時代にかけて盛んになったようで、
その流行はやがて平安中期に千手観音へと移って行ったそうです。
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室生寺といえば、石楠花と五重塔。
この党は先年の台風でひどく傷んだんですが、今はもとの姿に修理されました。
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階段の両側には石楠花が植えられていて、花の時期にはとても賑わいます

今は静か、そして、とても涼しい・・・・
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国宝の勧頂堂。屋根の反り具合がなんとも美しい。
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静かな境内を堪能したあと、朱塗りの反り橋から振り返ったところ。
山を背景に、静かにたたずむ室生寺です。
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このお寺は、女人高野の名の通り、どこもかしこも愛らしく清らかで、
室生川の川のせせらぎの音と、鳥の声が聞こえ、
山清水の滴り、湧水が心を洗うようでした。

そのせいか、境内には山から下りてきたのか、若い鹿が一頭。
恐れる風もなく私を眺めていました。
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下界へ戻るとうだるような暑さでした・・・・
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Commented by lilakimono at 2009-07-08 09:11
わ~、画像で拝見するだけでも涼風を感じるようです。
お着物で行ったら素敵だなぁ・・・・と思いましたが、この石段は・・・・
昔の人たちはここを着物で登り下りしていたのですよねぇ。

7つの国宝の十一面観音様、流行が奈良時代ということはどれも奈良近辺にあるのでしょうか?
ちょっと調べてみよう~!
居ながらにして、ご一緒させていただいている気分です。
Commented by nagiwi at 2009-07-08 19:16
りらさん
そうなんですよ~、ほんとに涼しいの☆
このお寺って、階段ばっかりで(汗)とっても着物では…
でも、女人高野っていうぐらいですから、女性がたくさん参拝されたんですよね。
どうやって登らはったンやろ、と思いますが…位の高い女人はやっぱり輿とか駕籠なんでしょうねえ。
金堂の中には駕籠が一つありましたよ。

国宝の七つの十一面観音は、京都に二つ、大阪に一つ、奈良に三つ、滋賀に一つ、あります!
Commented by かすみ at 2009-07-08 19:23 x
十一面制覇。なぎさんの意気込み?ビンビン伝わりました。
聖林寺のは男性壮健仏。はぁはぁ言いながら登って、おめもじした
ン十年前が甦りました。小学生の男の子を連れた男性が、
その子に説明しながら拝んでらしたこと思い出します。

室生寺は土門拳の写真集が圧巻。もち実像もですが。
いつも佳いレポートありがとう、いつか私も制覇しよう!
Commented by sana at 2009-07-08 21:05 x
新緑に清流…静かな佇まい…
素敵ですねえ…
現世安穏後生善処ですか!
お参りしたいです(^^)
こちらは蒸し暑くて、汗で水も滴るいい女になってるところですが。
ほっと一息、静かな気持ちになれました。
女人高野にたどり着く心持ちも何だか大変そうな…でもきっと慰めを得られたことでしょうね。
Commented by nagiwi at 2009-07-08 23:32
かすみさん
言い出したのは友人なんですが、この暑さですからね~
日焼けが怖い(笑)

そうそう、聖林寺は堂々と、室生寺はあどけなく、ですね。
六波羅蜜寺の十一面観音は十二年にたった一日の拝観だそうで、
次は三年後。
元気で頑張ろう!
Commented by nagiwi at 2009-07-08 23:35
sanaさん
室生寺ってほんとにかわいいお寺なんですが、階段がすごいの~。
でも、下界より何度か気温が低くて、涼しくて気持ちよかったです☆
たくさんの女性が願いを込めて参詣したんでしょうね…
Commented by lilakimono at 2009-07-09 01:28
再度・・・・・
七つの国宝十一面観音様の画像、見てきました。
(六波羅蜜寺の物はリンクが切れていて・・・でも、これは実物を見ているはずなんです。)
不勉強で、仏様のお顔の違いなどこれまであまり気にしてこなかったのですが、こうして比べてみると同じ十一面観音像でも随分違う物なんですよねぇ。
なぎさんの書かれている室生寺の「お顔もあどけなく、ふっくりとした頬や唇は少女のようで」というのが良く分かりました。
Commented by nagiwi at 2009-07-09 21:18
りらさん
六波羅蜜寺の十一面観音、ご覧になったんですか!
特別開扉してた時なんでしょうか、ラッキーでしたね~♪
仏像の顔って、ほんとに千差万別ですね。
時代によっても、作者によっても違ってて見飽きません。
室生寺のはとってもかわいいです~☆
Commented by かるほ at 2009-07-09 23:31 x
おお、興味深い巡礼してはるわ~。
室生寺はいつも紅葉の時期に行っているので、緑濃き葉っぱがワサワサって光景は自分には珍しいです。
写真にも人影が少ないし、ちょっと奥地だし、風が渡っていくと涼しいだろうなあ。ウラヤマシっ!

六波羅蜜寺の十一面観音は十二年に一日だけ?
そりゃ、万難を排して駆けつけねば、だわね。
ああ、ワタシも奈良ツアーに行きたいぞよ!
Commented by nagiwi at 2009-07-10 11:53
かるほさん
紅葉の室生寺はとびきり綺麗ですけど、この時期は観光客は少ないし、下界よりずいぶん涼しいし、いいですよ☆
帰ってきて聞いたら、この日はすごく暑かったらしいけど、室生はひんやりでした~。

六波羅蜜寺の特別開扉なんですが、今年の秋にもあるって教えていただいたの!!
11月22日から一週間らしい。
3年待たなくてもいいんよね~♪
Commented by marie004 at 2009-07-12 19:07 x
室生寺はシャクナゲの季節に行ったことがあります。とっても長いこと電車に乗っていたなあ~ その頃は、仏像には見向きもしないお年頃だったので、なんにも記憶がありません~ 今見たら、興味深いでしょうね。着物では無理なんですか? いかにもオトナのデートにぴったりなロケーションですけど…
十一面観音像というと、妙に色っぽくて唇が肉感的な像を思い浮かべるのですが、あれはどちらの観音さまでしょう? 
Commented by nagiwi at 2009-07-12 23:29
marieさん
シャクナゲは有名ですね。
お寺の中は階段だらけなので、草履や下駄では足元がやや不安ですね。
あ、階段が怖いわ~と言って手を引いてもらったら大丈夫かも!
か弱い女を演出するにはぴったりのロケーションではありますね。
是非お試しください(笑)

唇が肉感的な十一面観音?
光明皇后を写したといわれてる法華寺のでしょうか?
by nagiwi | 2009-07-07 22:21 | お寺と仏像 | Comments(12)

「まことにはかなきものは、ゆくえさだめぬものおもい。風の中に巣をくう小鳥」(作高橋睦郎・・・多分)私なぎの物思いの幾つかを・・・


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