富本憲吉記念館
かるほさんとご一緒に富本憲吉の生家を訪ねてきました。
かすみさんが、富本憲吉の弟子であられた陶芸家の○領さんと知り合われて、
今は記念館になっているここを案内していただくことになったんです。
京都時代の弟子だった○領さんは、富本憲吉を深く深く敬愛しておられるご様子で、
それは熱心に、その人となりや作品を語ってくださいました。
富本家の大和風の長屋門。
馬に乗って潜れるように大きく作ってあるそうです。
門を中から見たところ。敷地は1000坪ほどでしょうか。
門内には、土蔵を改築した陳列室や、改築された母屋、戦後過ごした離れなどが点在し、
花や木が自然のままに生い茂って、ひなびた風情。
近代陶芸の父として名高い富本憲吉は、1886年奈良県安堵町の旧家に生まれ、
幼時から神童と呼ばれたそうですが、長じてロンドンに留学し、
バーナード・リーチの知遇も得て、陶芸の道に進みました。
バーナード・リーチと富本憲吉。今見ても、心奪われる風貌ですね・・・・
奈良出身の有名な陶芸家として名前だけは知っていても、
その作風や作品を詳しくは知らなかった私は、
若い頃(大和時代)の作品を収めた蔵を改築した展示室に入って驚きました。
大和の山や川、草木をモチーフに、おっとりと暖かく、長閑で。
この壷の絵の、なんと柔らかに暖かなこと・・・
英国留学の帰途、立ち寄られたエジプトをモチーフにした作品。
とってもモダン!
英国留学で、それまでの様式的で「晴れ」の場のための陶芸ではなく、
生活の中でこそ美しい物を使わなくては、との思いから陶芸家になった富本憲吉は
杯、ご飯茶碗、湯のみ、コーヒーカップ、それはもう様々な生活用品を作っておられます。
これは、陶製の印鑑!
一番小さいものは、小指の先ほどの大きさで、でも、なんとも美しく彩られて。
これまでに、これほどかわいい印鑑を見た事がありません・・・
売るためでも、人に見せるために作ったのでもない、
家族や親しい人のために、愛情を込めて楽しんで作った、と言う思いが伝わってきます。
富本憲吉はまた、どくだみ、ざくろ、あざみ、しだ、定家葛など
身近なありふれた草花をスケッチし、作品にしています。
この陶板のモチーフは、庭のざくろの花。
庭には今もざくろが植わって、今が花盛り。
大きな美術展には出品されないような、日常を彩った作品がほんとに沢山。
500円玉ほどの大きさのこれはなんだと思いますか?
この人にとって、作ることは楽しみそのものだったんですね・・・
「なんて幸せな小鳥!小鳥になりたい」とかすみさん。
帯留めやカフスボタンまで手作りです。
もちろん、こういうのも有ります。
これは、晩年の京都時代の作品で、煎茶器。
暖かさを持ちながらも端正に美しく、気品に満ちてますね。
これは牡丹の掛け軸ですが、これを読んで私たち、泣いてしまいました。
(仮名遣いや漢字などあちこち間違ってます。意味だけをおとり下さい)
「大和の国安堵村の旧宅に、わが幼年の頃より 後庭に一株の牡丹あり。
老樹なれど永々打ち捨てられて花開かず。
昨春以来打ち捨てられたるを哀れみて、自ら雑草を抜き施肥したる結果、
約三十輪の蕾あり。四月京都移住に当たり、花期の報告を依頼しおきおり
電文に曰く、ハナサカリ、カヘリマツ と有り。即ち急ぎ帰りて、この花を写し、
その電文の筆者にこの図を託す。」
この文章の中に、富本憲吉と言う人の、優しさ、暖かさ、思いやり、花を愛する心、
そして、ふるさとを離れる寂しさ、何もかもが現れて。
心に深く沁みわたりました。
今日は、
「文化勲章を受けたことを決して誇らない、少しも偉ぶらない人だった」と、
深い愛情を込めて語られる○領さんと言う、すばらしい案内人を得て、
ほんとに良い一日となりました。
また、一つの作品だけを見るのではなく、その作品を大きなプロセスの中で、
どこから来て、どこへ行くのかを見なければ、と言うお話に、目を開かれたよう。
今の一歩は未来に繋がる一歩なんですね。
○領さんにご案内いただかなかったら、なんとなく通り過ぎてしまっただろう作品の数々が、
話してくださる言葉に呼応して、目覚め、息づき、語りかけてきて。
これまでいろんな展覧会に行きましたが、
これほど心を込めて見たことはなかったように思います。
富本憲吉と言う人は、連綿と続く大和の長い歴史と、この地の豊かさとに育まれた
名家の深い教養を基盤に生まれた天才が、
英国留学と言う新しい風を受け、大輪の花となったのだ、と
はるか彼方の陶芸家だった人が、
温かな生きた人間として感じられた、すばらしい一日でした。
最後に、彼が愛し、晩年をすごした離れに通してもらったんですが、
そこには、バーナード・リーチと共に写った写真が有って、
それを見ると、かるほさんは丁度リーチと同じ場所に座ってました。
良かったね、かるほさん。
あっという間に時間が過ぎて、お昼ご飯を食べ損ねたので、
京都へ帰られるかすみさんたちと別れて、
かるほさんと私は私の家で、買ってきたお寿司を食べて、感慨にふけりました・・・
パックのままで(汗)
もう少し生活の中に美を取り入れなくちゃ、と話しながら(大汗)
うう、綺麗なお皿を出してきて載せて食べればよかったね(劇汗)
再来週には、○領さんのお宅に伺う約束もしましたよ~。
楽しみです☆
いい写真集になっています。
楽しかった。
昨日はどうもありがとうございました。
ゆぁすぃーとだーりん☆さまにも宜しくお伝え下さいまし。
なんだか、ここ数日出てばかりいたので(汗)本日は部屋の片付けに
終始してしまいましたが…あの夢のような時間を反芻しつつ、
「つくづく贅沢な時間だったなあ」と生駒山頂を眺めながらぼーっとすることも。
『縁』とは不思議なものですね(としみじみ)
久しぶりに、感涙して、すっきりした気がします。
また来週「自主スク」いきましょうぞ(笑)
昨日はお疲れ様でした~。
ほんとに素敵な一日でしたね。
昨日はいつまでも心がドキドキしているようで、なかなか寝付けませんでした。
かすみさんの引き寄せてくださったご縁が、あの時間をくれたんですね~。
このご縁、大事にしたいものです☆
来週、行きましょうね!
富本憲吉は名前くらいは聞いたことがあったような・・・くらいでして、陶器は好きなのですが、体系的な知識などまるで無くてお恥かしいです。
が、こうして知ることができるって、ホント、楽しいです。
道具というのは飾っておくよりも使ってこそ!と生意気に思ってはいましたので、書かれていることに共感しまくりでした。
いつか、たっぷり時間を取ってこういう隠れた名所廻りをしてみたいものです。
記念館での感動を伝えて下さって有難う。私のはミーハー運のみ、
お声掛けして大正解でした。
そしてあんまりアップが素晴らしく、プリントし○領先生への
礼状に同封しました。報告が遅れごめんなさい。
で、返す返すもの心残りは、ユア・ハズを眼前まで引き寄せ
られなかったこと。次回を期待してまーす。
私は先生のお作伺いに、近々訪京しそう。その時会えたらまた!
ホントに有難うございました。
こちらこそ、いつも褒めていただいて、有難うございます☆
富本憲吉と言うと、金彩の綺麗な磁器の函って言うイメージだったんですけど、行ってみて目を開かれる思いでした。
初期には民芸の柳宗悦などとも交流があったようですが、より高い芸術性を求めて独自の道を歩んだそうです。
ああいう器を毎日使って暮らす・・・・素敵ですね~♪
ここはほんとに隠れた名所なんですが、すごく不便なところにあります(汗)。
こんな田舎にあんな芸術家が生まれたなんてね・・・(笑)
ほんとにありがとうございました、楽しい楽しい一日でした。
私はただ、○領さんの仰ったことや、かすみさん、かるほさんの感想をそのまま書いてアップしただけなのに、お恥ずかしい限りですわ~ん。
○領さんに送った?!ひえ~、穴があったら入りたい~(汗)。
まい・だーりん・トミーちゃん?かるほさんにはお見せしたのよ(笑)
感想はかるほさんにお聞きください・・・・多分「真っ黒!」って言うと思う(笑)
京都にお出での際は是非お声をおかけください☆
なんて。
ゆあ・ハズ殿は、きっと少年のようなお方?
なぎさんが(時折少女)なので。
車好きの駄々っ子の。白洲次郎さんみたいな。
当たってるでしょん?
と、訪京の折・再会では心待ちにしてます。
白洲次郎さまあ????
なんとまあ、おそれ多いことを仰います~。
うちのトミーちゃんは、脳みそまで筋肉の肉体派で、教養などと言う言葉とは程遠い(笑)・・・まあ、少年のようと言うか、成長してないって言うか、ガキと言うか・・・そんなとこです(冷や汗)
再会をお待ちしてます☆
あんな煎茶器でゆっくりお茶を飲んでみたい!ものです。
あそこに記念館が有ることは知ってたんですが、私も初めて行って、感動しました~。
ぜひ一度お出でになると良いと思います。近所には、民俗資料館(?)もあるようなので、足を伸ばしてご覧になっては如何でしょう。
あの煎茶器、携帯用なんですって。湯飲みに大小が有って重ねて持ち運べるようになってるんですよ!
なんと言う贅沢☆
なるほど、湯冷ましにも見えますね!