風の中の小鳥

国宝十一面観音&正倉院展

この季節、法華寺、海龍王寺、不退寺では、秘仏を公開しています。
国宝十一面観音を全部拝観しよう!を合言葉にしている友人と私は、
法華寺の十一面観音を拝観しようということになりました。

当初は、佐保寺の三観音を見た後で正倉院展と阿修羅も…と言う予定だったんですが
彼女に所用が入って、法華寺と海龍王寺の十一面観音を二人で見た後、
私一人で正倉院展に行くことに。
連休の谷間とはいえ、きっとすごい人出だろう、と覚悟したんですが、
幸いにも(?)朝起きたら、雨模様で、その上、風も強く、寒い!!
しめしめ、これなら混雑は少しは緩和されるんじゃないかな~、と淡い期待(笑)

大和西大寺で待ち合わせて、彼女の車で法華寺へ。
佐保路のお寺は、こじんまりとしたいいお寺が多いんですが、
西大寺の駅からや、お寺とお寺の間は、あんまり趣のない道を歩くことになるのが難点です・・・・

彼女は、十一面観音にハマってから、白州正子さんの文章などを読み漁ったようで、
そのイメージと、実際の立地に違和感があるらしい。
そりゃあ、そうですよね~。
白洲さんが奈良に来られたころ、この佐保路は、田んぼや畑や雑木林の真っただ中。
それが今は車がガンガン通る国道のそばなんですから。

でも、、ね。
白洲さんが来られた奈良は、都があった奈良ではない・・・・
1300年前、平城京は人口10万人を有した時代の先端を行く近代都市。
そして、佐保路のある左京一条は、都のど真ん中。
総国分尼寺として光明皇后によって建立された法華寺の広い寺域の周りには
貴族の館が立ち並び、朝夕、華やかな牛車が行きかったことでしょう。
やがて都が移り、時代が下って、奈良は静かに衰えて。
そのなかでも人の暮らしは繰り返され、近代都市は田圃と雑木林へと姿を変えたのです。
そう思うと、また違う感慨があるよね…・

しかし・・・って、こうして見るとやっぱりいいお寺ですよね。
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門跡寺院である法華寺は、どこもかしこも優美で美しい。
そして本堂におられる十一面観音は、彼女にとっては思いのほか小さかったようです。
紅色の残った唇や肩にかかる髪…光明皇后をうつしたとも、檀林皇后嘉智子を写したともいわれるのが頷ける、たおやかなお姿。
「ふじわらの おおききさきを うつしみに あいみるごとく あかきくちびる(会津八一)」
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この慈光殿と言う収蔵庫には、光明皇后臨終の枕仏と言われている、
国宝の阿弥陀三尊像及び童子像の三幅の掛け軸があります。
ずいぶん退色していますが、意志の感じられる眼差しが見る者の心を捉えます。
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御所のお庭を写したといわれる庭園も公開されています。
如何にも尼寺らしく、小さくて可憐で清らかなお庭。
幼くしてこのお寺に入って、ここで一生を過ごす、貴い身分の少女も、
このお庭にはきっと慰められたのでしょうね。
低い屋根は「上の御方」と呼ばれる奥書院。大きい屋根は本堂です。
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小高い丘には背の高い木、手前には低い灌木が植えられ、手前の池には杜若が。
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瓦にも、障子の引き手にも菊のご紋がついてました。
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お庭にはたくさんのドングリや・・・
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黄色く実った梔子の実
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本堂の前に咲くエリカの花。
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華楽園と言う庭園には、秋の草花が無造作に咲き乱れていました。
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椿かな。ほのかに入った薄紅色が美しい。
凛とした静けさのある美しさは、この日の冷たい空気にぴったりでした。
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次に、海龍王寺に向かいました。
私が高校生の時、このお寺の門は閉ざされ、打ちつけられていました。今はちゃんとあいていて、それだけでうれしい私です(笑)
それでもまだ、寂れた風情の参道…いいわぁ。。
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光明皇后の皇后宮の北東隅に立てられたことから「隅寺」と呼ばれていました。
こちらの十一面観音は鎌倉時代の作品で重要文化財に指定されています。
長らく秘仏であったせいか、彩色も鮮やか。
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8世紀前半の様式で建てられた、国宝の五重塔小塔。
元興寺にも、こういうの、あります!
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本堂の屋根。
時間を切り取って閉じ込めたような境内でした。
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時間を見ると、午後4時前。
友人と別れ、混雑状況を気にしながら正倉院展に向かうと、
大正解!
行列の影も形もありません!!
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館内も静かで、やったね~♪
今年は、紫檀木画槽琵琶や、金銀花盤、平螺鈿背円鏡、光明皇后の真筆の楽毅論(藤三娘、との署名がありました!…他は読めません)(汗)さまざまな刀子などに人だかりができていましたが、それもほどほど。
しかも、どんどん人は少なくなっていって、ほんとに見やすい☆
私が心ひかれたのは、貝の飾り具(貝玦)!
三日月みたいな形に夜光貝をくりぬいたもので、小さくて可愛いの。
伎楽面のところにあった、馬の頭。
なんかリアルで面白い~。
漆花形箱・・・・今もつややかな漆の色と、形の面白さ!…ほしいわ…
それから、宝相華模様の琵琶の袋と組み帯。

好きなものを繰り返し繰り返し見て、すっかり納得し、
外に出てみると、もう夕暮が迫っていて
残照の興福寺境内は、思いっきり冷え込んでおりました。
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朝一番の酔狂会も良いけど、夕方の奈良博も捨てがたい魅力がありましたよ。
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by nagiwi | 2009-11-02 21:48 | お寺と仏像 | Comments(8)
Commented by lilakimono at 2009-11-04 01:22
法華寺も海龍王寺も皇后様など女性のお寺の所為でしょうか、優しい佇まいですねぇ。

クチナシの実、生っているのは初めて見ました!
面白い形になるのですね。
白い一重の椿は大好きなのですが、ちょっぴり符が入ると艶っぽい感じに思えます。

正倉院展、大正解おめでとうございます~。
じっくり見たい物も行列ではなんだか落ち着きませんよね。

秋になってなぎさん、益々精力的に動き出されてますねぇ。
次々アップされるブログが本当に楽しみです。
Commented by nagiwi at 2009-11-04 17:54
りらさん
秋になると、正倉院展のほかにもあちこちで秘仏の特別公開がありりますし、気候も良いので行きたいところが沢山あって困ります☆
その中でも人の少ないところをゆっくり見たいな~、と思ってるんですが、なかなか難しい・・・・
でも、今年の正倉院展は大正解でした♪

椿がそろそろ咲き始めてますが、空気が冷たくなると花の色が一層冴えてくるようです~。
Commented by sana at 2009-11-05 15:27 x
美しい風景ですねえ。
さわやかな空気がこちらにまで伝わってくるようです。
この中にたたずむお寺、その中に安置された宝物の数々…
光明皇后の昔から…
正倉院展、大正解はよかったですね!
Commented by nagiwi at 2009-11-05 20:23
sanaさん
こういう静かなお寺が、京都にはない奈良らしさだと思います。
道明寺もそうでしたが、尼寺って、なんだか清らかで可憐な感じがするでしょ。
少し前まで、正倉院展と言ってもそれほどの混雑は無かったんですが、最近はすごいの…・
Commented by yumeko at 2009-11-05 23:27 x
案内しようかと思う候補に法華寺、海龍王寺もあったのですが・・・行きたいところが山のようで困ってしまいます。(笑)
私が興福寺へ向かっている時も、奈良博は人もまばらでした。
なぎさんとすれ違っていましたね!
偶然にも同じ時に五重塔を撮影していたようですねぇ~。
Commented by marie004 at 2009-11-06 20:43 x
テレビで鑑真和上のドラマをやっていたのですが、光明皇后つながりで、法華寺の十一面観音が紹介されました。子どもの頃、うちにあった歴史の本で見て以来ですが、やっぱり、えもいわれぬ色香のようなものが感じられますね。光明皇后はほんまにこんな美人さんやったんでしょうか~? 聡明でしっかりもので胆力がありそうには思えるのですが。ドラマでは、聖武天皇は気が弱そうなかたで、孝謙女帝はワガママなお嬢さまに描かれていました。
高貴なお姫さまが門跡に…というと、三島由紀夫の小説なんか思い出します。
正倉院展、あのすてきな琵琶が見てみたいです。
Commented by nagiwi at 2009-11-07 12:01
yumekoさん
殆ど同時に五重塔辺りにいたみたいですね~!
あの日は午前中はお天気が悪かったし、阿修羅も正倉院展も、ゆっくり拝見したい人にとっては狙い目でしたよね。
すっごく精力的にあちこち案内されてて、楽しそうでした~。
Commented by nagiwi at 2009-11-07 12:13
marieさん
そのドラマ、見始めたんですがCMがうざったくて、録画してCMを飛ばして見ました(笑)
光明皇后って、聖武天皇よりしっかりしてて慈母の如き人だった、っていうのが通説ですよね。
正倉院展で見た光明皇后の「藤三娘」っていう署名は、大きくて、力強かったですよ。
三島由紀夫の「春の雪」のモデルになったのは円照寺(山村御殿)と言うお寺らしいのですが、一般には非公開なんです。
法華寺は同じ門跡尼院ですし、雰囲気は似通うのかも…と思います。

今年の正倉院展では、昭和20年代に録音された琵琶の音色が流れてましたよ。
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